全日本GT300選手権に参戦しているポルシェGT3Rをスケールモデルにしました。
スケールは1/5で、全長887mm、幅374mm、重さ8.7kgになります。
レイナードの風洞モデルと違うのは、同じ風洞実験用という目的でつくられていますが、レギュレーションにより改造範囲が限られていることです。
おおまかに言うと、タイヤの中心から下側しか変更できないのです。
したがって、作り方がちょっと違います。


実車の測定は3次元測定器で行いました。
ボディ形状は、ポルシェ独特の曲面で構成された、綺麗なデザインです。
でも、これを3次元の形状データとして数値化するのは非常に骨が折れる作業です。
そこで、今回はクレイモデルでボディ形状を作成することにし、
測定は、縦・横・水平に細かく輪切りにするようにしました。
また、見た目ではあまり気にならないのですが、車体の下面は、空力にとって非常に大切です。
したがって、実車を高く持ち上げて、床下からエンジン下面まで細かく測定しました。


ボディ形状は変えようがないので、一体化することにしました。もちろん、ドアも開きません。
まず、クレイモデルと呼ばれるオス型を粘土で作成し、反転型をとって製作します。
これは、機械加工による削りだしと比べると、職人芸に近いです。
バンパーやラジエター・ダクト類は、実際の空力アイテムとして改修が予想されるので、取り外し可能なものとします。
フロントのアンダーパネルとリヤのウイングは、GTカーでは非常に重要で、
その2つでほとんどのダウンフォースを発生しています。
アンダーパネルはバンパーとも分離し、ウイングはアルミ製の削りだし品です。
エンジン・ミッション・マフラーは床下の路面との隙間を流れる空気を再現するため 細かく作りました。


出来上がったパーツを組み立てます。
骨格として、アルミの板を車体内に埋め込み、そこにボディやバンパー、 フロアーやエンジンなどを取り付けます。
回転するタイヤとの干渉を避けるため、サスペンションは少しカットしています。


モデルのワイヤー吊り下げ方式は、レイナードと同じです。
タイヤも外部からの支持棒に固定し、回転を反映します。
ムービングベルトと呼ばれる移動式の地面ベルトは、宙づりのモデルの10mm下を 時速約90キロの高速で移動します。
また、それに接するタイヤは毎分4000回転以上のスピードで回ります。
モデルのタイヤとフェンダーの隙間は、狭いところで約2mmしかないので、 出来上がったモデルを最初に風洞にかけるときは緊張します。


最初は現状の素性を見ます。車高の水平変化や前後変化など。
これを実際の走行データと照合して、空力の効果を確認します。
次にレギュレーションの範囲内で、どの辺を変更すれば良いか試します。
これらもトライ&エラーの繰り返しでアイテムを探していきます。
今年のレースでは夏のFUJIからリヤウイングを、MINEからフロントのカナードを新しい物に変えています。気付きましたか?


風洞モデルは、その年の早いうちに作って効果を上げないと、レースでは意味がありません。
したがって、計測開始から最初の測定までをいかに短期間で行うかが鍵となります。
今年はレイナードを作りながらポルシェも作り、
また、レイナードをテストした翌週はポルシェのテストと、忙しい毎日でした。
2001年は、R&DスポーツとしてもポルシェGT3Rでの全日本GT参戦を予定していますので、 応援をよろしくお願いします。