英国レイナード社のフォーミュラニッポン用「レイナード2KL」を模型風洞用にスケールモデル化しました。
縮尺比は1/4で、全長:1.1m、全幅:0.5m、重さ:14.4kgほどになります。
風洞モデル作成のポイントは、風をあてた時に発生する力を再現することなので
、 形状を正確につくるだけでなく、ある程度の強度も必要になります。
そこで、材料は金属、カーボン、樹脂を使い分けています。


風洞モデルを作成するためには、まず実車を測定することからはじめます。
3次元測定器を用いて、×YZ3軸の座標を点群データとしてコンピュータに取り込みますが、 カウル形状を画面上で再現するには、かなり多くのデータが必要になります。


点群データより、3次元CADを用いてコンピュータ上に形状を再現し、スケールモデルの設計を行います。
スケールモデルで何処まで再現するかをこの段階で決めなくてはなりません。
ラジエター冷却効率の検討のために、カウル類は実車と同じく中空構造にする必要があります。
その中にラジエター、エンジン、エキゾースト等を再現します。
また、サスペンションアームなどの細かいパーツも、空気の流れに影響が出ないよう注意深く作ります。
ウイングは3D形状データから削り出します。同一断面の翼形はワイヤーカットという方法で作ります。
タイヤは回転を再現するため、車体とは離してサイドから支持棒によって固定します。


面データから、樹脂ブロックをマシニングセンタで削りだします。
パーツがいくつか分かれているのは、通常1年ごとにマシンがバージョンアップして、カウルが変化するので、 モデルもそれに合わせて変更できるようにするためです。
モノコックやノーズは、3次元データより樹脂ブロックを削り出します。
カウルは同様に削りだしたオス型から、反転型をとり、カーボンにて皮一枚の製品をつくります。
これは、実車の製作方法と同じですが、複雑な形状を薄肉で再現しようとすると、
強度的に考えても、この方法しか無いのです。


完成したパーツを組み立てていきます。
ここでは、ウイングの取付位置や、カウルの位置関係が実車と正しく相関がとれているか、 確認しながらの作業となります。
また、金網で通気抵抗を再現したラジエターの前後の圧力を測定するためのチューブを 配置します。


モデルが完成したら、風洞にセットします。
ここでは車体を数本のワイヤーによって空中に固定します。 ワイヤーの先には荷重をはかるセンサーが付いていて、空気の流れによって発生する力を 数値でコンピュータに送ります。
タイヤは移動するベルトに接地させることで回転を反映しています。
全部で6個のセンサーを用いて、ドラッグやダウンフォースを細かく算出します。


準備が出来ました。
最初はウイングの角度を変えたり、車高を0.1mm単位で変えたりして、 現状の素性を見ます。
次に、実走行からのフィードバックを元に、ウィークポイントを改善できるような アイテムを試していきます。
たとえば、ダウンフォースがもっと欲しいとか、冷却を良くしたいとか...。
トライ&エラーの繰り返しで進めていき、その中の幾つかは実際にフルスケールで製作し、 レースやテストに投入されます。


モデル作成で苦労した点は、実車が届いてから、レースやテストの合間を縫ってデータを測定する事でした。
それから、現行モデルより良いパーツがなかなか見つからないことが多く、 あらためてレイナードの偉大さを感じました。